家族・友人

暗い道

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夫が入院中は、電車で札幌の病院に通っていました。
苗穂で降りて、自転車に乗って豊平川を越えて‥
毎日 無機質な病院に向かいました。
帰り道。夜遅く恵み野駅に着いたときには、身も心もくたくたでした。何処に置いたのか、自分の自転車が見つからなくて涙がこぼれました。
ようやく見つけた自転車が 何かの拍子に倒れかけて、慌てて手で支えました。手を放したら周りの自転車も倒れそうで、身動きがとれなくなりました。
薄暗い自転車置き場で本当に泣いてしまいそうになったとき、誰かが自転車を起こしてくれました。
夫が亡くなってずいぶん経ってから、駅の近くを歩きました。真っ暗な道でした。
ごちゃまぜになった記憶があふれ出して、堪えきれずに泣きました。
あれから何年経ったでしょう。同じ道、暗い道を今は平気で歩けるようになりました。
少しずつ少しずつ、角ばった思い出の角は取れていくのかもしれません。

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  1. カタナンケ より:

     固くしまった雪が 春になり
    じわじわと 解けて行くように
    すこしずつ  つらい記憶が
    やわらいで 行きますように〜

  2. まさ♪ より:

    切ない記憶も愛の記憶と思っています。
    涙の流れない記憶となりますように。。。

  3. おまさ より:

    カタナンケ様
    いつも優しくしてくださって、ありがとう。
    私は、幸せ者ですね。^^

  4. おまさ より:

    まさ♪ 様
    私も、そう思います。
    コメント、本当にどうもありがとうございました。^^

  5. rie より:

    おまささんの文章が好きです。
    心に染み込むように、その時の情景がありありと浮かんできます。
    私まで悲しくなってしまいました。

  6. おまさ より:

    rie 様
    押し込めていた気持ちを吐き出すたび、ちょとずつ楽になるものだから ついつい‥。
    ごめんね。それでもって、ありがとう。

  7. May より:

    こんばんは。冬の夜道は、私も哀しい記憶を呼び起こします。夫の病院から駅に戻る下り坂、途中にオイスターバーがあって、冷たい風がコートの襟から容赦なくしのびこむ中、クリスマスで賑わうそのお店を外から眺めてると、まるで全然別の世界の事みたいに見えましたっけ。そう、なぜか行きより帰り道のほうが心細さがつのるものですね。
    私もまだまだ押し込めている気持ちがあるようです。おまささんのお気持ち、まるで自分の事のようで、ついつい・・・お許し下さい。どこかで何かの形で少しずつ吐露していったほうがきっといいですね。

  8. おまさ より:

    May 様
    お返事が遅くなってしまって すみませんでした。
    私も同じ体験をしました。
    激しい痛みを堪えて駅のホームを歩く夫を支えながら、
    そばを行き交う人が皆、まるで違う世界に生きている人のように思えました。
    1人で居ても、しばらくそれは続きました。
    奇妙な感覚で、そのことを娘に打ち明けたら、
    「私も同じ気持ちになった。」と言われ少しホッとしました。
    辛い時間でしたよね‥。
    もしかしたら同じような体験をした方、少なくないのかもしれませんね。

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