家族・友人

ありがとう

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たった1段の階段を踏み外しただけなのに、脊髄損傷を負って全身麻痺の状態になった父。

以来自分で息をすることもできず、意識はあっても声も出せない。

それでも悪いなりに状態が安定し、療養型の病院に転院することになった。

当日、移動のための介護タクシーには 主治医と看護師さん1人が同乗してくれた。

 

人工呼吸器が外され、挿管チューブにアンビューバックが接続される。父の顔が苦痛で歪み「息が苦しい」と口が動いているのが見てとれる。

胸がドキドキし、私も息が苦しくなる。「お父さん、頑張って。」

 

ICUでお世話になった担当の看護師さんは、忙しい時間を割いて病院の玄関口まで見送りに来てくれた。

要求の多い父に嫌な顔一つもせず、常に穏やかな対応をしてくれた看護師さんだ。優しくて丁寧な看護に、入院中 父も笑顔で応えていた。

介護タクシーには私も乗った。窓の外に、真っ赤な目をして ちぎれんばかりに手を振る その看護師さんの姿が見えた。

窓を開け、最後の挨拶をした。涙が後から後から溢れた。

 

転院先に着いて一通りのことが終わると、先生(主治医)は母のそばにしゃがみこんで 「身体を大切にしてください。」と、繰り返し言われた。

労わるような眼差しに、胸が詰まった。

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左端の写真は、隣家に植えてあるアイリス。

雨に打たれてとてもキレイに見えた。

父の入院で一人暮らしとなった母を心配して、ご近所の方が声をかけてくださる。

「お姉ちゃん、よく帰って来てあげたねぇ。」の ひと言に、思わず目頭が熱くなる。 

耳の遠くなった母に代わって、市役所にも何度か足を運んだ。そこでの親切も忘れられない。 

人は一人では生きられない。直接、間接にさまざまの人に守られて生きている。一人一人の優しい気持ちが、生きる力に繋がる。

上手くいっているときより、困ったときにそのことがよく分かる。

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POSTED COMMENT

  1. ノッコ より:

    遠いこともご両親が老いていくことも
    ご両親を思うおまささんの気持ちも
    せつないですね・・・。
    ご両親のまわりのみなさんのやさしさがうれしいです。
    5月7日は母の13回忌でした。
    せたなの実家のお墓は例年より雪解けが遅れ
    カタクリとアズマイチゲが満開でした。
    父は亡くなって38年、何年経っても生きていたら
    と年齢を数えてしまいます。
    今年の6月で父の亡くなった年齢になります。

  2. カタナンケ より:

    周りの方がみな お優しいことがせめてもの
    自分の慰めになりますね、、
    歳がいくと 転ぶことはすべて 生から遠ざかっていくことにつながります、、
    わたしはとても用心深いのですが
    ここへきて周りの友人達がよくころんで
    足の指や 手首を骨折しています、、
    それがなおっても しびれが残ったり
    指がまがったままになったりと なんらかの
    後遺症がなかなかなおらず、、
    おまささんも庭仕事 気をつけて、、
    1人だと 病気やけがすると やっかいなことに
    なるからね、、

  3. おまさ より:

    ノッコ様
    そう、切ないです。
    昔子供だった頃、漠然とした不安がありました。
    今思うとあれは、こういう日の来ることへの恐れだったのかもしれません。
    家族の病気や怪我、別離、死‥。
    避けられない日がやがてやって来ることへの恐怖を、
    子供ながらに案じていたのでしょう。
    ご両親が亡くなられて、ずいぶんの年月が経ったのですね。
    カタクリとアズマイチゲ、満開でしたか‥。
    キレイだったでしょうね。

  4. おまさ より:

    カタナンケ様
    人の優しさというのは、どんな薬よりも効くものですね。
    病院の廊下を歩いていて、
    「大丈夫?」と看護師さんに声をかけられたことがあります。
    一瞬何のことか分かりませんでしたが、私を気遣っての言葉でした。
    きっとよほど暗い顔をしていたのでしょうね。
    張り詰めていた気持ちがゆるんで、目頭が熱くなりました。
     
    そそっかしい私。
    階段の上り下りや脚立での園芸作業、せいぜい気をつけることに致します。
    的確なアドバイス、いつもありがとう!
     

  5. あつこちゃん より:

    おまささん、ブログ拝見して
    ぐっときました・・・
    私も83歳の父と母が離れてくらしてます
    なかなか会いにいけず・・・
    親不孝してます。 母も温泉に行って
    椅子に座りそこね、坐骨骨折して暫らく
    動けなくなり・が・・今は元気になりました
    でもその時・・夫の理解がなく、ずっと看病ができませんでした。
    なんて書いたらよいかわかりませんが、おまささんの
    コメントに、、だだジーンときました

  6. モモ より:

    おまささん 
    ご両親のこと、気になる毎日ですね。
    遠くて、思うように手助けができない気持ちを思うと、うるうるします。
    お母様にお疲れが出ませんように、祈るばかりです。
    そして、おまささんも怪我などされませんように。
    私も父が入院して、感謝や人の気持ちがうれしいものだと
    改めて思いました。
    おまささんの庭を昨年、一昨年と2度感激して見せていただきました。
    一緒に行った友人も、介護5のお母様を見ながら、花で元気をもらいながら育てています。
    今年も恵庭に行く予定が立ち、北海道に元気をもらいに行きます。
    おまささんの恵庭の様子を読むのを楽しみにしています。

  7. すず より:

    おまささんこんにちは。
    私も今年、父が亡くなったときの母の年齢になります。
    母は私達家族と同居で、今は油絵を趣味にしながら元気にしています。
    ただ最近は食が細くだんだん痩せていくようで気になっています。
    そばにいると、くだらないことで親子げんかも絶えず、もう少し優しい言葉もかけてあげなければと思うのですが、ついついわがままが出てしまいます・・・。
    おまささんのコメントを読み反省です・・・・。
    先日無事四国から帰ってきました!
    乗り鉄の主人に付き合って、高松を拠点に、松山、高知、倉敷、徳島と3日で1000キロ近い鉄道の旅となりましたが、松山ではおまささんのこと思い出していました。
    素敵な街でしたよ~

  8. おまさ より:

    あつこちゃん 様
    遠距離での看病(介護)は大変ですよね。
    自分の家庭も守らなければいけないし、
    両親へのことも気がかりだし。
    でも結局は自分のできること以上のことはできないので、
    私の場合「これでいいんだ。」と思うように努めています。
    あつこさんの優しい気持ちは、きっとご両親にも伝わっているはず。
    離れていても気持ちさえ通じていれば、親は嬉しいものだと思うんです。
     

  9. おまさ より:

    モモ様
    ええ、気になります。
    両親のことを考えない日はありません。
    でも同時に、今の生活を楽しんでもいますよ。
    私が心身ともに元気でいないと、
    看病もへったくれもありませんものね。あら‥失礼^^
    元気をもらう。そうですね。
    草花から、自然から、人から‥。
    いろいろなものから元気をもらって、
    自分も他の方に 元気を分けることができたらステキですよね。
     

  10. おまさ より:

    すずさま
    分かります。一緒にいるとそういうものかも。
    親子だから、お互い甘えてしまうのかもしれませんね。
    私も 親子げんかやってます。^^
    3日で1000キロの鉄道の旅‥。
    すごい。かっこいい!
    ご夫婦で旅行。ちょっと羨ましいです。

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