ねぇ おまさ、この靴誰の?
それはね。
おまえと遊んでくれた、お姉ちゃんのだよ。
私より一回り小さな、黒いパンプス。
都会のアスファルトを、コツコツと歩いてきたパンプス。
ここのところ秋を思わせるような涼しさが続いていましたが、
一昨日あたりから厳しい夏が戻って来て息苦しいほど‥。
久しぶりに北海道に帰省したのに、ちょっと残念でした。
昨日の朝、庭の草花は雨に濡れていました。
タマノカンザシ、もうすぐ花が咲きそうだ‥。
「お姉ちゃんは、もう起きたかなぁ。」
「‥あぁ、そうだった。もう東京に帰ったんだ。」
蒸し暑い8月の終盤。
玄関に並んでいたパンプスは、
都会の喧騒の中へ また戻って行きました。